観る
高さ20m、穴の直径およそ8mの小岩島。『花津浦』とは牛の鼻の先という意味と、愛しい我が子を抱いて朝鮮を眺めた須佐之男命が、離れづらいと言われたためともいわれています。みすゞさんはこの話をうたい込み、自らも入日に燃える海をみつめ深い郷愁の念を抱いたといわれています。少しさびしい詩ではありますが、みすゞさんの気持ちが伝わります。
自然・景勝地
住所 | 〒759-4106 山口県長門市仙崎 |
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花津浦 金子みすゞ
浜で花津浦眺めてて、
「むかし、むかし」
ききました。
浜で花津浦みる度に、
こころさみしく
おもい出す。
「むかし、むかし」と
花津浦の
その名の所縁きかされた
郵便局の小父さんは、
どこでどうしているのやら。
あのはなづらの
はな越えて、
お船はとおく
消えました。
いまも、入日に海は燃え、
いまもお船は沖をゆく。
「むかし、むかし」よ
花津浦よ、
みんなむかしになりました。
「金子みすゞ童謡全集」(JULA出版局)より
※金子みすゞの詩は、金子みすゞの著作保存会の了承を得て掲載しています。
転載される場合は、必ず「金子みすゞ著作保存会」の許可を得てください。