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第25回全国棚田サミット・アグリアートフェスティバル2019

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  • 記事更新日:

    2019.10.13

  • ライター情報:

    長門市観光コンベンション協会

棚田の魅力を再発見する2日間

10月13日(日)、ルネッサながとをメイン会場に「第25回全国棚田(千枚田)サミット」が開幕しました。

翌14日(月)までの2日間の行程で行われる本イベントは、講演や分科会、農作業着のファッションショーや現地見学などを通して、棚田の魅力を再発見しようとするものです。北は青森県、南は鹿児島県から、約800人が来場しました。

舞台となった長門市は、油谷の宇津賀地区・向津具地区を中心に棚田が広がる場所。特に「日本の棚田百選」に認定された「東後畑棚田」は、海や夕日、漁火と棚田のコントラストが楽しめることから、多くの写真愛好家が足を運ぶスポットとしても知られています。

オープニングは油谷こどもミュージカル

13日(日)のオープニングを飾ったのは、2002年に発足し、これまでに17回の公演を重ねてきた「油谷こどもミュージカル」。小学4年生から中学3年生までの団員29名が在籍しています。

堂々とした振る舞いに、透き通るような声。棚田を守ってきた祖父の意思を継ぎ、前に進もうとする子どもたちを歌や踊りを交えて表現しました。

最後は客席に飛び出し、参加者の目の前で歌を披露。元気な声が響きわたり、曲が終わると同時に会場は大きな拍手に包まれました。達成感がにじむ団員の皆さんの笑顔が印象的でした。

基調講演と「mompekko」の事例発表

午前中は、「関係人口と農山村再生」をテーマにした明治大学農学部の小田切徳美教授による基調講演や、農作業着「mompekko(モンペッコ)」の普及や商品開発に取り組んできた研究成果を発表する山口県立大学の事例発表が行われました。

2013年に始まった「mompekko」プロジェクトは、日本の伝統作業着「もんぺ」を、現代のライフスタイルに寄り添った形に改良して提案するもので、これまで市内では「農ガールコレクション」と題したファッションショーが開催されてきました。

この日は会場ロビーにも展示・販売ブースが設けられ、色鮮やかな「mompekko」に多くの人が足を止めていました。

棚田米を使った限定商品

長門市観光コンベンション協会のブースに並んでいたのは、市内の観光地が描かれたバッグに商品が詰まったギフトセット。油谷の棚田米を使った3種のダックワーズ「ライスワーズ」と焼き菓子「こめごろん」、そして地鶏「長州黒かしわ」を使った「東後畑棚田米スープ」です。

昨年から開発プロジェクトが進められ、2種類のお菓子は道の駅センザキッチンの観光案内所YUKUTEで先行販売も実施。「ライスワーズ」は米粉ならではのもちっとした食感が楽しめ、「こめごろん」は噛めば噛むほど感じられる、棚田米の甘みと香りが魅力の一品です。

棚田を守るヒト・モノ・コトを学ぶ

午後には、棚田を守る「担い手」を増やす活動や、棚田を核としたモノづくりや地域振興など、テーマごとに3会場に分かれて「分科会」が行われました。

「ライスワーズ」や「こめごろん」開発の取組も、農家の所得向上や耕作放棄地の再生に尽力されているNPO法人ゆや棚田景観保存会の大田寛治理事長から紹介されました。

アグリアート・フェスティバル「光の棚田」

ステージイベントのラストを飾るのは、山口県立大学企画デザイン研究室による「アグリアート・フェスティバル」。安倍昭恵内閣総理大臣夫人も第1回から企画・運営に携わり、今年で7年目を迎える農作業着「mompekko(モンペッコ)」のファッションショーです。

今回は「光の棚田」がテーマ。主に学生の手でデザインされた衣装は、太陽に照らされてキラキラと輝く棚田をイメージし、明るい未来に向けた思いが込められています。オリジナルソング「光の棚田」を披露した周防大島出身の兄妹ユニット「マウンテンマウス」に続いて、学生がモデルとして続々と登場します。

過去に発表された「サロペッコ(2015年)」や「ツナギッコ(2016年)」、移住者の生活を想像して作られ、架空のストーリーとともに紹介される衣装など、ステージは全6パートで構成されています。

今年の新作「mompekko tanada 2019」は、学生だけでなく、ゲストも続々とステージへ。

長門市の大西市長をはじめ、「百姓の塩」の製造やスペインバルの開業など、向津具地区の資源を生かしたさまざまな事業を展開する「百姓庵」女将の井上かみさんや、耕作放棄地の棚田にハーブや花を植える活動に取り組む和田あいこさんが笑顔で登場しました。

さらにこの日は特別ゲストとして、モデルの我妻マリさんとタレントの芹那さん、2016年以来2度目となるはるな愛さんも出演。会場はこの日一番の盛り上がりを見せました。

フィナーレは、すべてのモデルとスタッフがステージ上でスポットライトを浴びます。大きな拍手に包まれながら、7年目のファッションショーは閉幕となりました。

高齢化や人口減少に伴い、耕作放棄地の増加や担い手不足など深刻な課題を抱える棚田。

それでも、新しい「食」やファッションの提案、現在も汗を流されている皆さんの声を通して、本サミットはきっと棚田や農業への印象が変わるような時間になったはず。明日14日(月)には、日本の棚田百選に選ばれた「東後畑棚田」や、向津具地区の「本郷の棚田」の現地見学会が予定され、参加者の皆さんに長門市の棚田の景観や取組を体感していただくとのことです。

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