道の駅センザキッチンから始まるライド
11月22日(日)、長門市・美祢市をめぐるサイクリングイベント「ながとブルーオーシャンライドwith秋吉台」が開催されました。地域の「絶景」と「食」を味わいながらライドを楽しむ本大会は、2016年に初開催され、今年で5回目を迎えます。
午前7時過ぎ、スタート・ゴール地点となる道の駅センザキッチンには、約270人の参加者が時間差で到着。新型コロナウイルス感染症の対策として、今大会は参加資格を山口県内居住者に限定。受付では検温が行われたほか、各自が記載した体調チェックシートがスタッフへ手渡されました。
そして7時40分、第1グループの参加者が順にスタートを切り、約117kmのライドが始まりました。
また、今月に山口県山陽小野田市で合宿を行っていたパラサイクリング日本代表チームの福井万葉選手(左から2番目)・権丈泰巳監督(右から2番目)も、大会を盛り上げるゲストライダーとしてスタートを切りました。
今回のイベントレポートでは、感染症予防に取り組みながらも、大会を通して地域の「絶景」や「食」の魅力をサイクリストへ伝えた1日を振り返ります。
山と海を眺めながら
最初のビュースポットは、無数の白い石灰岩が立ち並ぶ「秋吉台カルストロード」。
黄金色のススキが秋を感じさせる中、どこまでも続くような広大な景色、アップダウンとゆるやかなカーブが参加者を待ち受けます。道沿いのスペースで写真を撮りあいながら、「頑張って登ってきて良かった」と笑顔がはじけるスポットです。
前半は秋吉台から俵山へと続く山道が大半ですが、北上するにつれて徐々に景色が開けていきます。
コースは民家の近くを走る場面もあり、参加者は沿道からの声援に応えながら進んでいきます。
例年、記念撮影のポイントとして親しまれている「大浜海水浴場」、本大会のパンフレットの表紙を飾った「東後畑棚田」と、海のそばは本大会屈指の撮影スポット。
だんだんと雲行きが怪しくなり、見える景色が白くかすんできた中での通過。それでも、90km以上の距離を走ってきた参加者が、笑顔で写真撮影を楽しむ姿が印象的でした。
自然の中で地域の味を堪能
今回のエイドポイントは5ヶ所。
前半は美祢市。初めてエイドポイントとして設定された25km地点の「大正洞」では、清風苑の「美東チキンチキンごぼうの太巻き」と特製甘酒が提供されました。
山口県では学校給食としても親しまれるメニューを、美祢市特産の「美東ごぼう」で作った一品。温かい甘酒は山口県の銘酒「貴」の酒粕で作られたもので、冷えた体に染みるおいしさです。
45km地点の「別府弁天池」では、地元野菜と弁天池の湧水で作られた豚汁が、湯気に包まれた大鍋で作られます。
地域のお母さんたちの愛情が詰まった特製豚汁は、ごろごろとしたたくさんの野菜が入っているのが特徴。山を下ってきた疲れも忘れられる熱々の一杯です。
68km地点の「里山ステーション俵山」はメインエイド。美祢エリアのエイドメニューは、例えるなら前菜とスープ。ちょうどお昼を迎える俵山では、メインディッシュをいただきます。
俵山の幸を詰め込んだ10品が並ぶ贅沢な「ランチボックス」は、俵山の農家を中心とした女性グループ「みゅーずきっちん」の皆さんがプロデュースしたもの。棚田米のごはんに漬物、豆腐と鹿肉のハンバーグや猪肉のスープなど、俵山ならではの食材の味わいを存分に引き出した料理ばかりです。
デザートの梨や「おこめぷりん」まで、俵山産の食材にこだわって作られた品々は繊細な味わいでした。
89km地点の「大浜海水浴場」で待っていたのは、深川養鶏農業協同組合が手がける県産オリジナル地鶏「長州黒かしわ」のチキンカレー。こちらは、海を眺めながら味わえるのもポイントです。
102km地点にある最後のエイドポイントは、日置中学校。
こちらでは、長門湯本温泉の萩焼ギャラリーカフェ「cafe&pottery音」のチーズケーキやホットコーヒー、ホットジンジャーがいただけます。
残りは約15km、ほっとする味わいで一息つける空間が、ラストスパートに向かうエネルギーを与えてくれます。
また、黄波戸地区では、100年以上の歴史を持つ老舗醤油屋「大津醤油株式会社」が、私設エイドで参加者をお出迎え。手作りの味噌と長州どりを使った「鶏汁」が提供され、最後の一踏ん張りに向けて参加者が身体を温める姿が見られました。
ウィズコロナでのサイクリングイベント
今大会は、新型コロナウイルス感染症の予防を徹底したうえで開催されました。
参加者はスタートや受付など、走行時以外はマスクを着用。各エイドポイントでは、まず手指の消毒から受取場所へ。
エイドスタッフはマスクとフェイスシールドを着用し、食べ物はふたつきの容器で、手渡しはせずに「置き渡し」を徹底。きめ細かな対策を施して、万全の態勢で参加者を出迎えました。
そして、先頭はスタートからおよそ6時間で、ゴールとなる道の駅センザキッチンへ。
長い旅の終わりの瞬間、あいにくの雨模様となりましたが、参加者の笑顔がゴールゲートではじけました。
あらためて、このたびはご参加いただいた皆様、エイドポイントの運営をはじめ、コース警備やさまざまなサポートにご協力いただいたスタッフの皆様、そして沿道からご声援をいただいた皆様と、本当に多くの方に支えられて、5回目の開催を無事に終えることができました。本当にありがとうございました。
長門市では、今大会のスタート・ゴールとなった道の駅センザキッチンが、市内唯一のサイクルステーションとして整備され、5種類の「レンタサイクル」で気軽に旅に出ることができます。
ウィズコロナの時代において、再度注目されるアウトドア。屋外での時間を満喫できるサイクリングは、長門市で今おすすめのアクティビティの1つです。
またいつか、青い空と青い海を眺めながら、長門市から始まるライドをお楽しみいただければ幸いです。